2025.12.26

リフィル(Refill)とは再び詰めること。洗剤や化粧品の詰め替えが一般的だが、マイボトルへの給水や、お惣菜をタッパーで購入することもリフィルの一つだ。
飲食店や公共施設などで、誰もが水道水をマイボトルに入れることができる“給水スポット”の拡大に力を入れるRefillぐんま。ペットボトルや使い捨てプラスチック容器の削減に取り組む同団体の活動内容や、意外と知られてない日本の水道水の豊かさについて話を聞いた。
Refillぐんまメンバー、群馬県環境アドバイザー連絡協議会 ごみ部会 部会長
奈賀由香子さん
※写真左
Refillぐんま代表 octobloom店主
栗原史恵さん
※写真中央。詳しくはこちらでも紹介しています。
Refillぐんま事務局
今井智子さん
※写真右

「500mlペットボトルの水を買うと150円以上はしますが、自宅の水道水500mlであれば大体0.2円ほどです。すごく高いお水を、ゴミになるペットボトルと一緒に買っているんです」と話すのは奈賀由香子さん。店舗や公共施設などへの給水スポット、飲食店や食料品店などへのマイ容器スポットの設置推進に取り組むRefillぐんまのメンバーだ。
給水スポットは誰もがマイボトルに無料で水道水を給水できる場所、マイ容器スポットは飲食店のテイクアウトや量り売り店などで買い物する際に、持参の容器を使用できる店舗を示す。群馬県内の給水スポットの登録数は役所や公園など公共スポット479地点のほかに店舗登録は65箇所ほどで、容器スポットは現在29店舗が登録されている。
以前取材したecolab cafeやkoyomiなど環境意識の高い店舗を中心に登録があり、登録した店舗や施設は給水・リフィルスポットマップに掲載され、環境に配慮した施設であるとアピールすることができる。
同団体で代表を務める栗原史恵さんは、前橋市で量り売り店“octobloom”を経営しており、同店は給水スポットとマイ容器スポットの両方に登録している。
「給水スポットの中には、お店が通学路に面していて真夏には小学生が“お水ください”と訪ねてくるお店もあります。給水スポットのステッカーをお店の入口に貼っておくと、気軽に利用してもらいやすくなったという声も頂いています」と栗原さんは話す。
一方で「給水スポットやマイ容器スポットの新規開拓がとても難しいです」と栗原さんは苦労を語る。自分たちの知り合いや公共機関、環境問題に関心の高い店舗などは導入に協力的だが、それ以外の店舗や企業には導入が思うように進まないという。何をやればいいのか、衛生面などで心配はないのか、お店側のメリットは何か?など、活動への理解や賛同を得ることが難しい。
「“ウォーターサーバーのお水を提供すればいいの?”と聞かれることもあります。使い捨てペットボトルを使うよりは環境負荷は少ないかもしれませんが、水の入ったボトルの輸送にまつわるガソリンやサーバー本体を動かす電気などの資源が必要です。日本には直接飲める水道水があるので、水道水でのリフィルが基本です」と奈賀さんは話す。
実は水道水をそのまま飲める国は貴重で日本を含めて世界で9か国しかなく、アジアでは唯一の国だ(日本、ニュージーランド、オーストリア、デンマーク、フィンランド、アイスランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの計9カ国)※1。
こういった日本の水資源への理解が充分とは言えず、問題意識がある企業や生活者の数も限られているのが現状だ。
※1:国土交通省.“令和7年版 日本の水資源の現況”.(参照 2025-12-15)

Refillぐんまの主な活動は給水・マイ容器スポットの拡大に加えて、散歩や通勤通学の際にごみ拾いをするエコウォーク、講演会、映画会、紙芝居上演などの環境に関するイベントの開催だ。アースデイやオーガニックフェアなどのイベントにも参加し、リフィルの周知拡大にも取り組んでいる。
「実はイベントでも無駄なプラスチックごみを出さない、リユース食器を使うことができます。ぐんまリユース食器センターという20年近く活動されているNPO法人さんがあって、前橋シティマラソンや伊勢崎シティマラソン、前橋の初市などでリユース食器が使われています。こういった団体さんとの連携も探っています」と奈賀さんは話す。
使い捨て容器の削減や、給水・マイ容器スポットの拡大などの活動は、北は北海道、南は九州まで、全国およそ30の地域Refillがあり、Refill Japanというプラットフォームで活動が行われている。その運営事務局は一般社団法人ONE PLANET LABO(これまでの「水Do!ネットワーク」より2026年1月に移行予定)だ。
Refillぐんまは、群馬県環境アドバイザー連絡協議会※2に所属していた奈賀さんが、Refill Japanのことを知り2021年7月に同部会の有志メンバーで立ち上げた組織だ。
「はじめは群馬県環境アドバイザー連絡協議会の部会活動の一つとして取り組み始めたのですが、長く続けていくべき活動なので、2024年に独立した任意団体として立ち上げることにしました」と奈賀さんは話す。
代表の栗原さんは群馬県環境アドバイザーの講習会に参加した際に、講義をしていた奈賀さんと知り合い、興味を持ち参加を決めた。
Refillぐんまの活動当初から参加する今井智子さんは「子どもを産んで、環境のことに興味が湧いたことがきっかけで参加しています」と話し、参加の動機は人それぞれだ。
現在、Refillぐんまのメンバーは約15名でメンバーは随時募集中だ。「まずはイベントのお手伝いなど、気軽に参加してほしい」と栗原さんは話す。次のイベントは春のアースデイを予定しているそうだ。
※2:群馬県環境アドバイザーとは、独自の環境ボランティアの人材育成制度だ。登録に特に特別な資格はなく、広く門戸を開いている。個々での環境保全活動が活動の基本だが、環境アドバイザー連絡協議会や4つの専門部会・委員会等に所属し、活動することもできる。(詳細はリンク先を参照。)

日本における2024年度の清涼飲料水ペットボトルの出荷本数は275億本、回収率は85.1%であり約40億本がリサイクルされていない※3。さらに石油資源からペットボトルの生産、輸送、販売時での冷蔵、使用後のボトルのリサイクルといった、商品のライフサイクルで多くの資源とエネルギーを消費し、CO2を排出している。リサイクル率が高くとも、確実に環境負荷が発生し、ポイ捨てされたペットボトルが海に流出し、マイクロプラスチックとなり、海の生物の体内に有害化学物質と一緒に取り込まれ、生物濃縮を引き起こす可能性もある。
日本は場所を問わず質の高い水道水が提供されており、水道水を持ち運ぶことでペットボトルの消費を回避できるはずだ。「ということを講演やイベントで話しますが、正しいことをそのまま伝えても、人はなかなか動きません。例えば前橋市の水道水は、地下水を利用していてミネラルを適度に含み水温も低いため美味しいと市もアピールしています※4。おいしい、たのしい、といった動機付けも必要だと思っています」と奈賀さんは話す。
Refillスポットの数を増やす方法は全国の地域Refill共通の課題だ。一方、東京ではリフィルは“資源を循環させ、ゴミを減らす、オシャレでカッコいい行動”という感覚が広まっているそうだ。店舗側からのスポットに登録したいという申し出がひっきりなしにあり、地方の現実とは大きなギャップがあるという。「東京のように、地方でもリフィルがオシャレだというイメージを持ってもらうことも重要だと思います」と奈賀さんは続ける。
大手小売り企業の無印良品の店舗に給水スポットが設置され、スターバックスなど大手コーヒーチェーンでは、店内で紙コップではなくマグカップによるコーヒーの提供が増えている。
また、リフィル行動を広げる国際的なプラットフォーム“Refill グローバル”はイギリスから始まり世界10カ国以上にパートナー団体を広げ、Refill Japanはその一つでもある。「海外から日本への観光客の方も、マイボトルを持参する方も多いです」と栗原さんは話す。
社会的に関心が高まり、世界的にも取り組みが広がるリフィル活動。Refillスポットを登録したい店舗や企業や、Refillぐんまの活動に参加したい方は、ぜひ連絡してみてほしい。
※3:PETボトルリサイクル推進協議会.“PETボトルリサイクル年次報告書2025年度版”(参照 2025-12-11)
※4:前橋市水道局.“まえばし水道局だより vol.38”(参照 2025-12-11)