2024.11.19
一般社団法人SALUTE・健康増進イタリア料理協会 代表理事
中村 浩子さん
父が医師、母が薬剤師の家庭に育つも母が人生で6回も手術。母の看取りで「病気になる前に防いであげられていたら」と薬膳を学び始める。
自身も3回の手術歴があるが、薬膳のおかげですっかり健康に。薬膳のベースにある東洋医学と、エビデンスのある西洋医学の両方をとり入れたイタリア料理で、季節ごとに体を整え、不調を改善し、病気にまで進ませないことをめざす。イタリア料理を知ること40年以上で、共著書に『イタリア薬膳ごはん』他。
サルーテ(SALUTE)、とはイタリア語で健康の意で、乾杯するときにはこう声を上げる。おいしいイタリア薬膳料理で、毎日を健康で楽しく過ごせる人を増やそうと奮闘するイタリア食文化文筆・翻訳家の中村浩子さんの講座が高崎市で初開催された。東洋医学の基本の考え方を学び、さらにきのこたっぷりのランチコースを堪能した本講座の一部を紹介する。
「サルーテ!」というイタリア語の乾杯からランチが始まる。テーブルを囲む参加者のほとんどが初対面とは思えないほど、あちこちで会話の花が咲いた。
11月1日にecolab caféで開催した、きのこの薬膳イタリアン講座の一幕だ。講師は一般社団法人SALUTE(サルーテ)・健康増進イタリア料理協会 代表理事の中村浩子さんだ。
“薬膳”と聞くと、どこか難しいイメージもあるが、中村さんらSALUTEが提案するレシピのコンセプトは明快だ。「まず“おいしい”こと、これが基本です。病院食のような薬膳レシピだと続きません」。“おいしいものしか食べない”は、イタリア人のポリシーでもあるそうだ。
「そして30分以内にできるもの。この条件にあったレシピだけを紹介しています」と話すこのレシピ、通常はSALUTE会員のみに年3回、4種類ずつ配付されるが、今回は特別にレシピが一つ参加者にプレゼントされた。
この日のコースメニューは舞茸と椎茸のスパイシー米粉フリット、きのこと鶏レバーのクロスティーニ、きのこのポタージュ、きのこソースのローストポークなど計8品。スーパーまるおか主催の講座とあって、おいしいものには目がない人たちばかりで、参加者からレシピの質問が止まらない。 ランチコースに中村さんの講座、さらに妙義山麓の地下水で育てた椎茸がお土産について参加費が3900円と充実の内容で、参加者は大満足の様子だった。
「YouTubeなどのWEBや書籍などには玉石混交の健康情報があふれかえっています。そのようななか私たちSALUTEがお伝えるレシピは医師、栄養士、薬剤師のアドバイスをセットにしています」と中村さんは話す。
例えば、干し椎茸は東洋医学では気を補い、胃の働きを整える、と伝わっている。一方の西洋医学では食物繊維が豊富で便通を促し、エリタデニンというアミノ酸の一種がコレステロールを下げる働きが期待される、と解説される。SALUTEのレシピは、東洋医学の考えとそれを科学的に裏付ける栄養学を中心とした西洋医学が両輪となっている。
今回の講座では1時間30分ほどかけて、五行と臓腑、二十四節気と陰陽の移り変わりといった東洋医学を学んだ。なかでも五性五味は、食材が持つ5つの味と性質(寒性、涼性、平性、温性、熱性)を示す食に直結する考えだ。
「例えばゴーヤは体を強く冷やす性質(寒性)があるので、夏に食べると良いです。あと意外に思われる方が多いのですが、小麦は涼性(体を冷やす)です。冬にパスタを食べるときはネギなど温性(体を温める)の具材を取り入れるのがおススメです。ただ食材の性質をぜんぶ覚えるのは大変です。おおざっぱでも良いので食べものには体を冷やしたり温めたりする性質があることを知っておけば良いと思います」。
講座で紹介した食材はスーパーなどで普通に手に入るものだ。薬膳の知識を身に付け、身体を整える食材選びを少しずつ暮らしに取り入れること、少しずつなら自分でもできるかも、そう思えた講座だった。
イタリア薬膳ごはん 体の不調とおさらばできる(講談社BOOK倶楽部)
一般社団法人SALUTE・健康増進イタリア料理協会
妙義ナバファーム
お土産にもなった食卓の主役級椎茸をつくっています。
スーパーまるおか
本講座の主催。日本中からおいしいものだけを集めたスーパー。