2024.10.19

身軽な暮らしの気軽な入り口。

プロフィール

はかり売りと雑貨octobloom(オクトーブルーム)
店主 栗原史恵さん
長野県塩尻市出身。高校卒業後、アメリカの2年制大学へ入学。卒業後帰国し一般企業に勤め、結婚を機に群馬へ移住。主婦業をするなかでゴミの多さに疑問を抱き、地球環境問題を入り口に持続可能な社会形成に関心を持つ。totoya京都での研修を経て新潟県へ移住し、はかり売り店に勤務。2023年11月にオクトーブルームを開店。

有機ドライバナナは10グラムで81円、北海道椴法華(とどほっけ)産の昆布粉末は80グラムで19円、すすぎ0回の環境負荷の少ない洗濯洗剤は100グラムで557円。特長ある暮らしの品をグラム単位で購入できる、はかり売りのお店が群馬県前橋市にある。お店の名前はoctobloom(オクトーブルーム)。店主の栗原史恵さんから開店までの経緯とお店に込められた想いを聞いた。

チョコに鰹節、味噌や洗剤がグラム単位で買えるお店

「味も知らない食べものを最初から200グラム買わないで、まず10グラムだけ試す。そうすれば、お金の浪費や食品ロスを減らせます」と、はかり売りの利点を話す栗原さん。

店内ではナッツやチョコレート、パスタやオートミールなどのおやつや主食、味噌や糀、かつおの粉末、乾燥バジルなどの食材や調味料、コーヒー豆やマサラチャイなどの飲み物、重曹や洗濯用洗剤など、様々な商品をグラム単位で購入できる。

かりんとうのような黒いドライバナナは人気商品で「カメルーン産のオーガニックで、食感は干し芋のようにねっとりして、甘みがギュッとつまっています。そのままでも、細かく切ってヨーグルトに混ぜるのもおススメです」。と、食べ方や原産地についても栗原さんが教えてくれる。こうした会話もオクトーブルームでの楽しみの一つだ。

店頭には先のドライバナナなどオーガニックのものや、大豆ミートなど環境負荷の低いものが並ぶ。「私が美味しいと思っているものを並べています。パスタは来店されたイタリア在住の方に“これはイタリアでもごちそうだよ!”って言ってもらえた自慢の品です」と栗原さんは胸を張る。

ちなみに前橋の人気イタリアン“ぺスカ”のオリジナルドレッシングも少量から購入できる。一人暮らし世帯など使う量が少ない人や、使ったことのない調味料や食材にチャレンジしたいときにも、はかり売りはピッタリだ。

オクトーブルームでは基本的に個包装の商品を扱わず、レジ袋も提供していない。そのため持ち帰り用の容器の持参をお願いしている。ジャムの空き瓶やタッパー、お弁当箱などでもOKで、容器のレンタルや販売もあるので安心だ。

「日本の一般家庭で出るゴミの約6割が包装容器(体積ベース、令和5年度※1)です。何か物を買って使うたびにゴミが出ることを考えると、その度に気分が重くなります。はかり売りを楽しみながらゴミを減らす習慣を身に付ければ、きっとスッキリした快適な暮らしにつながると思います」。

お店を開いたきっかけは、ゴミ出しがめんどうだから

「はかり売りに興味をもったのはゴミ出しがめんどうだったからです。ほんと自分勝手な理由からなのですが」と少し恥ずかしそうに笑う栗原さんは結婚後、主婦として家庭を管理するなかで、ゴミの多さに改めて気づいたという。

「何とかゴミを減らせないかと分別を徹底しました。生ゴミは畑に埋めて今では可燃ゴミは週に400グラムほどです。少し意識すればゴミはいくらでも減らせます」。さらにゴミ問題に興味をもった栗原さんは、容器包装の問題や日本のゴミ最終処理場があと23年ほどで限界を迎えることを知り※2、ゴミの削減につながる、はかり売りにたどり着く。

「はかり売りを自分の暮らしに取り入れていこうと思い県内を探したのですが、見つかりませんでした。ならば自分でお店をやろうと京都のはかり売り店、斗々屋※3さんのゼロウェイストショップ開業講座を受講しました」。

2020年から翌年にかけて事業計画や資金調達、物件の確保、商品の仕入れなどをオンライン形式で学び、さらに2022年に新潟県妙高市に移り住み、はかり売り店で働き始めた。

「妙高市は内閣府が選定するSDGs未来都市に選ばれていて、その実証実験ではかり売り店のオープンが決まっていました。斗々屋さん経由でスタッフ募集の話を聞き、飛び込みました」とその行動力には目を見張るものがある。お店の立ち上げから店舗運営、接客、仕入れ、値付け、在庫管理などを実践で身に付け、県の起業支援金なども活用して2023年の11月にオクトーブルームをオープンした。

オープンからまもなく1年が経つ。「群馬の方はオープンで、気軽にお店の中に入ってきて話してくれますね。色々知ることができて楽しいと言ってくれる方多く嬉しいです」と栗原さんは手ごたえを感じている。

またオクトーブルームでは、粒マスタードや豆板醤づくりといった食のワークショップを開き、夏休み限定の“小学生の宿題をする場”を設けたり、食料品の共同購入の拠点としてスペースを提供したりと、色々な人が行き交う交流の場にもなっている。

「人と人とのコミュニケーションは人生を豊かにすると思います。お店に並んでいるコーヒーや農作物のなかには、知人からの紹介や、私が直接お願いしているものもあります。人との繋がりは私にとって欠かせないものです」と話す栗原さん、とてもチャーミングな方なので気軽にお店を訪ねてみてほしい。きっと、暮らしに取り入れることのできる、何か新しい発見があるはずだ。

はかり売り食材と雑貨 Octobloom(オクトーブルーム)

営業時間:9時-17時
定休日:金土
住所:群馬県前橋市六供町5丁目11-8(区画整理前の旧番地は六供町5丁目818-2)
https://www.instagram.com/_octobloom_/

※記事内の商品価格は、2024年9月のものです。お買い物の際にはオクトーブルームさんの店頭で価格をご確認ください。

※1:“容器包装廃棄物の使用・排出実態調査(平成18年度~)” 環境省(参照2024-10-08)

※2:“一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について” 環境省(参照2024-10-08)

※3:株式会社斗々屋。オーガニック食材やワイン、はかり売り什器、エコ雑貨などの輸入、卸企業。京都と東京に直営のはかり売りショップを持ち、ゼロウェイストショップの開き方講座なども行う。 https://totoya-zerowaste.com/

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