2021.11.5

地元産の果実を加工、榛名ブランドの一つの顔

榛名倶楽部

フルール・アンジェリーナ 店主/山木あすかさん

住所:高崎市下里見町1231-1 TEL:027-343-3594
営業時間:11時~18時 水曜定休

30年余の間、地域に親しまれてきたカフェ

はるな・くだもの街道(国道406号)沿いに30年ほど前にオープンして以来、癒しのスポットとして愛されてきたカフェ『フルール・アンジェリーナ』。季節の花々で彩られる庭が訪れる人の目を楽しませます。伺った9月上旬は、アーチを形作るセンニンソウが満開で白く輝いていました。

急逝した父の遺志を継いでカフェを切り盛りするようになった店主の山木あすかさん。開店当初は、料理やケーキづくりを学びながら店舗で実践する日々だったと苦労を振り返ります。

「建てた当時はおしゃれで画期的な店舗でしたが、30年も経つと古びた印象ですね」と笑う。しかし、経年の落ち着いた雰囲気がむしろ味わいとなり、落ち着きのある空間があります。毎月、フラワーアレンジメントや寄せ植え教室、レシピ付きお食事会、ケーキ教室などが少人数で行なわれ、暮らしに彩りを添えるノウハウや情報の発信にも取り組んでいます。

努力家でたおやかな物腰が魅力の山木さんの人柄もあり、カフェは地元や高崎市内の常連さんも付いて長く親しまれてきました。

地元の果樹農家が素材を供給
旬のおいしさが詰まった商品づくり

7年ほど前に、常連客の里見梨園の里見吉隆さん宅のゆずの実が手つかずのままでもったいないという話題から「お菓子の材料に使いたい」「梅や梨でもできないか」と発展し、果樹農家とカフェのコラボレーションで、規格外の地元産果実なども活用して加工品の製造・販売を手掛ける『榛名倶楽部』をスタートさせました。

榛名地域は、豊富な湧き水や長い日照時間、水はけの良い土壌と、果物の産地としての好条件を満たし、県下随一のフルーツエリアとなっています。梅、プラム(6月下旬~9月上旬)、桃(7月中旬~9月中旬)、梨(8月中旬~12月中旬)、ブルーベリー(6月下旬~8月下旬)、ブドウ、柿、ゆずなど、いろいろな果物を楽しめるのが魅力。

「形の良い果物は、旬の恵みとしてもぎたての鮮度を味わっていただけます。けれど、少し形が悪いだけの果物は自家で消費したり、お客様にサービスとして差し上げたりして、残りは廃棄されてしまいます。それではもったいないですね。農家さんから規格外品も積極的に購入して、工夫して手を加えることで、ジャムやジュース、ドライフルーツ、スイーツといった魅力的な地域ブランド品に仕上げて販売したいと思いました」と山木さんは話します。

生まれ育った故郷で長くカフェを営み、榛名地域を思う心は人一倍熱い。「“はるな”という音の響きが素敵でしょ。高崎市内で榛名というと田舎扱いされますが、全国的には“はるな”の名称のほうが“たかさき”より知られていると思います。おしゃれで爽やかなイメージを『榛名倶楽部』の商品に重ねて発信していくことで、独自性や差別化を図っていきます」。カフェ営業で身に着けた料理やスイーツづくりの腕前がここでも発揮されています。

手に取ってもらえる商品で販路拡大も順調

商品ラインナップは、梨・柿・いちごの3種のドライフルーツ。黄桃・プラム・ブルーベリー・和梨・梅の5種のジャムに、一年おきにイチジクジャムが加わる。紅の舞(梅)のシロップ、ブルーベリージュース。冬期限定のユズサブレに和梨のフィナンシェ、榛名地域周辺の冬期潜水の栽培法で収穫した米や天日干しの米。

「食の安全性はもちろんですが、おいしいことが大前提。榛名地域だけでなく、近郊の農家さんが生産した良質な農産物やお肉の加工品等も徐々に紹介したいと考えています」と山木さん。

農家が農業を営むことで、榛名の豊かな自然を守ることができます。榛名倶楽部の商品の販売量が拡大すれば、農家のやりがいにもつながり後継者問題の解消などにも貢献できるはず。こうしたウィンウィンの関係が、地域を元気にします。

「榛名俱楽部の商品は、カフェやネットでの販売はもとより、高崎の顔ともいえる“高崎芸術劇場”や高崎のアンテナショップ“高崎じまん”などでも販売され、高崎の手土産としても親しまれるようになりました。ほかにも榛名地域にある大型の高齢者施設内に販売所が設置され、都内などから移り住んでいる方々が、自分たちが暮らす榛名の実りが詰まったジャムやジュースを好み、親しい人たちへの贈答用に使ってくださるので有難いです」と、榛名倶楽部の販売事業は少しずつ拡大しています。

現在、果物を供給してくれる地元の協力農家は6軒。もう少し手を拡げたいところですが、高齢化が進む農家の理解と協力を得るのは、傍で考えるほど楽ではありません。

『榛名倶楽部』の事業は、干芋や干し柿など、昔農家のおばあちゃんたちが当たり前にやっていたことであり、山木さんの “もったいない”と思う心や、榛名の豊かな実りを閉じ込めたおいしい商品づくりへのこだわり、そして地元愛に支えられています。