2021.11.5
碓氷エコファクトリー
「碓氷エコファクトリー」では、手間がかかる各種産業廃棄物の分別作業を徹底的に行ない、これまでできなかった複合・混合廃棄物のリサイクルを推進しています。 廃棄されるプラスチック、紙、木材、繊維、ゴム、金属、ガラス、電気器具などを選別・破砕・洗浄し、付加価値の高い再生資源を生産しています。
地球温暖化による気候変動の影響で、大雨や暴風による自然災害、猛暑による熱中症など様々な形で現れています。地球環境の「最悪のシナリオ」を防ぐため、2050年までの温室効果ガス排出ゼロが求められています。「このままでは子どもたちは自然災害に怯えながら暮らさなくてはならなくなります。私は未来の子どもたちを守りたいt。そのために一つのプラスチック片、一枚のビニール袋のリサイクルをしっかり積み重ねています」と栂野さん。
ごみの減量化、再資源化は世界的な取り組みです。廃棄物処理や再資源化は、人々の生活や事業活動に不可欠な事業として、法律によってルールが定められています。産業廃棄物、一般廃棄物という言葉を聞いたことがあると思いますが、その意味を改めて確認します。
産業廃棄物は、事業活動によって生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物のことです。一般廃棄物は、産業廃棄物以外の廃棄物という大雑把な定め方ですが、事業活動による「事業系一般廃棄物」と、一般家庭から排出される「家庭系一般廃棄物」、爆発性や毒性を持った「特別管理一般廃棄物」に分けられ、産業廃棄物、一般廃棄物とも、公的な許可を得た事業者が適切に処理するように法律で決められています。
廃棄物処理は、法律の順守(コンプライアンス)が大切な事業です。
碓氷エコファクトリーは、産業廃棄物のリサイクル処理施設で、企業から排出された様々なごみが搬入されてきます。ここに持ち込まれた廃棄物のリサイクル率は、100%近くになっています。
リサイクルの手法には、大きく分けてマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3種類があり、碓氷エコファクトリーは、廃棄物を再利用しやすいように加工処理するマテリアルリサイクルを中心に取り組んでいます。
例えば廃プラスチックやビニールなどは、品目別に細かく分別、破砕や洗浄、圧縮により再資源化を行い、それを担っている栂野さんは、徹底した再資源化に力を注ぐ「リサイクルの鬼」のような人です。
搬入された廃棄物に、様々な素材が混在するときは、手作業で分別します。また機械機器や事務機なども、専門の担当者が手作業で解体し、プラスチックや金属に分別します。プラスチック類は、ペット、ポリスチレン、ポリプロピレンなど10種類に分別され、プラント内の設備で数ミリ程度に細かく破砕、洗浄し、粒上のペレット素材として、出荷されます。正確な分類が、再生素材としての価値を左右します。違う素材が混入していると、再生素材を使って生産される製品の品質に影響します。
最後は人間の目で一つひとつ手作業し、分別精度を高めています。栂野さんでもすぐに素材がわからないものもり、端の方に熱を加え発生する臭いでプラスチックの種類を判別することもあります。栂野さんは「自分で納得できる分別ができるようになるまで2年かかりました」と。
「地球の未来のために、1グラムでも多くリサイクルしたいです。手間をかけるだけの価値が仕事です」と栂野さんは誇りを持っています。
碓氷エコファクトリーから出荷されたプラスチック資源は、ボールペン、ハンガー、お風呂の椅子などに再加工され、再び市場に流通しています。「実際にどのように再利用されているのか、お客様の工場まで自分の目で確かめに行きました。きっちりと資源循環することで、新しい価値が生まれてきます」と手ごたえを感じています。
「SDGSの時代となり、お客様の関心も高まっています。CSRを重視し自社が排出する廃棄物が再資源化されていることが、その企業の価値を高めることにつながっています。再資源化の証明を発行し、お客様企業のSDGSに貢献できるよう、準備を進めています」と、時代のニーズをとらえた計画も進められています。